テリー・ギリアムの世界

テリー・ギリアムの新作。『Dr.パルナサスの鏡』。
T・ギリアムの新作だから見たい、という映画ファンはどれくらいいるのだろう? 今回はヒース・レジャーが撮影途中で亡くなったため、ジョニー・デップジュード・ロウコリン・ファレルという主役級のスターが、ヒースの代わりに残りのシーンを演じたという話題性から、注目を集めているけれど、そういうミーハー心から見に行った人は目をまん丸にして、この作品にビックリするのではないだろうか? でも、T・ギリアムの作品を何作か見たことのある人なら、T・ギリアムらしい作品だと思えるだろう。

3人のスターの友情出演は、実際映画を見てみると、「フーン」って感じで、特にどうということはなかったが、私は悪魔役のトム・ウェイツが、なんだか楽しげに演じていて、面白かった。あと有名モデルであるらしいリリー・コールに目が釘付けになってしまった。決して美人ではないが魅力的だ。

T・ギリアムはモンティ・パイソンから一貫して喜劇の人だ。ただ、笑わせてくれるだけではなく、それを見て笑っている自分もひとたび笑われる存在にいつでも変わってしまうことを気付かされ、ぞっとするようなところがある。そこが好きだ。