アカデミー賞発表の日でした。

今日はアカデミー賞発表の日だった。発表の後、その最優秀作品賞を鑑賞した。『ハート・ロッカー』だ。

ついでに監督賞も、この作品の監督であるキャサリン・ビグローが受賞した。キャサリン・ビグローというと、『ハート・ブルー』が有名だが、私は『ブルー・スチール』という作品が好きだ(あと、バンパイア物が好きなので『ニア・ダーク』もお気に入り)。女性でありながら、硬派な作品を撮る監督という印象が強い。

ハート・ロッカー』も非常に硬派な作品だ。冒頭から、なんなのだ、この映画に漲る緊張感は。ドラマテッィクなものはほとんどないといってもいい。イラク戦争での米軍爆弾処理班の日常を淡々と描いていく作品なのだが、そこに描かれる日常が、常に剃刀の刃先の上を裸足で歩いてるかのごとくキーンと張り詰めているため、鑑賞していて、ほんとに疲れた。
アカデミー賞受賞は納得。ノミネートされた作品で未見のものも多いが、『アバター』よりは絶対『ハート・ロッカー』の方がふさわしいでしょう?

しあわせの隠れ場所

サンドラ・ブロック扮するリー・アン。こんな人が身近にいたら、きっと鬱陶しいんだろうなぁとは思いつつ、このバイタリティーというか、行動力というか、自分の信じる道を突き進む姿には敬服する。
この映画が、実話であるということに、ただただ驚く。私は、アメフトに関しては簡単なルール程度しかわからないので、このマイケル・オアーという選手のことも全く知らなかった。エンディング・ロールでは、実際のリー・アンとその家族、マイケル・オアーの実際の写真が淡々と映されていくのだが、これが、「あぁ、この話はやはり実話なんだなぁ」としみじみ感じられて良い。
そして、きれい事を並べた感動のお話ではあるが、ユーモア交えながらサラリと描いたところに、この映画の良さがある。

アカデミー賞の主演女優賞は、この作品でサンドラ・ブロックが最有力候補のようだが、はてさて結果は如何に?

子猫をお願い

最近、韓国映画をDVDでよく見ている。そんな中でバツグンによいと思えたのが、『子猫をお願い』だ。
同じ高校で大親友だった5人の女性が、高校を卒業してから、二十歳になるころの話だ。それぞれが社会に出て、その洗礼を色々な形で受けている。みんな立場や環境も当然違うわけだが、その中で高校時代のような友情は、少しずつ翳りを帯び始めてくる・・・。

これは近年の中でも、最高の青春映画のひとつだと思う。そしてまた登場人物たちの「関係性」を描いた作品といると思う。それぞれ登場人物たちは自分自身にとっての問題を抱えているが、実はそれは互いに影響を受け合い、作用しあうが上に、嫉妬したり、寂しさを抱いたり、一歩踏み出すきっかけになったりするのである。

ペ・ドゥナがやはりとっても良い。良い女優だ。

冬季オリンピック

今日は注目の女子フィギュアスケートショートプログラムがあったが、採点の基準がイマイチわからない。
まぁ、私はフィギュアスケートは単にTVで観戦するだけの素人なのだから、しょうがないのだけれど、それにしても今日の浅田真央の演技とキム・ヨナの演技に4点以上の差が出るのが納得いなかい。共に素晴らしい演技だと思った。キム・ヨナが高得点なのに全く文句はない。あの表現力は素晴らしいと思った。しかし、浅田真央も素晴らしかった。共にノーミス。ほぼ同じレベルの点数が付いているべきではないだろうか?

こういう採点系の競技ってスッキリしないことがよくあるので、見終わった後モヤモヤしてしまう。

その街の今は

あまり現代の小説、いわゆるJ文学なんて呼ばれているものは、あまり読んだことがなかったが、最近、やはり読まず嫌いはダメだろうと思い始めて、いくつか読んだ。
その中で、圧倒的に夢中になってしまったのが、柴崎友香の『その街の今は』だ。
その街の今は (新潮文庫)
私は大阪出身だから、作中の大阪弁が妙に懐かしく、作品に入りやすかったのかとも思った。しかし、それは単なるとっかかりの部分であって、どうやらそういう部分ではなく、それぞれの登場人物の関係性や、その登場人物と彼ら彼女らが暮らす街との関係性や、そういったところに大きな魅力があるのかな、と思った。
気に入ったので、柴崎友香の他の作品も読んでいこうと思っています。

韓国映画の名作

未見だった『殺人の追憶』をDVDで鑑賞。
単なる面白いサスペンスだと思ってたら、とてつもなく重いテーマを持った作品だった。

冒頭で「この映画は1986年から1991年の間、軍事政権のもと民主化運動に揺れる韓国において実際に起きた未解決連続殺人事件をもとにしたフィクションです」というテロップが出る。この時代背景を踏まえて見ることで、また映画の深みが増すのだ。象徴的なのがDNA鑑定が自国ではできないということでアメリカで調べてもらっており、その鑑定結果を、最も疑わしき容疑者を前に見る場面と、その後を描く、ラストの2003年のエピソードだ。

私は韓国映画を今までそれほど見た事はなかったが、このポン・ジュノ監督の『グムエル』は同じくDVDで鑑賞したことがある。あれも大変面白いエンターテイメント作品となっていたが、『殺人の追憶』のラストのエピソードからさらに数年後の世界として考えると、あの『グムエル』の反米性は意味深げだ。


50歳の恋愛白書

豪華な出演者に惹かれ、『50歳の恋愛白書』を見に行った。しかし、なんだかスッキリしない作品だった。映画の導入部分などは、とてもうまく、面白そうかなと感じたのだが、後半はどうもモヤモヤしたものを感じてしまった。このモヤモヤはなんなのか?主人公の夢遊病のくだりは、そのモヤモヤ感を象徴していたようなものだ。またキアヌ・リーブス扮する近所の離婚して実家へ帰ってきた引きこもり男との恋愛も、なんだかモヤモヤ感を増幅させてくれた。

個人的には主人公の娘時代を演じたブレイク・ライヴリーが良かった。でも、顔が木下優樹菜に見えてしょうがなかった。